2013年2月11日月曜日

医療の変革の時

医療が発展・発達していく中、多くの命が救われ、難病もどんどん治療する術が見つかってきました。
しかし、同時にいくつもの歪みも生み出してきました。
今回は薬剤師として働く中、進化してきた医療の歪みについて感じるところを具体的に綴ってみたいと思います。

医療が発展・発達していく中、”薬”という分野が独立し、薬剤師が誕生しました。
”薬”は薬学という大きな分野を確立し、同時に人の病態から、生死から切り離されてしまったのです。
その結果、薬剤師は薬の効果はわかっても、患者さんの病態から薬を選ぶ能力が養われなくなりました。

医療が発展・発達していく中、各分野の成長は目覚ましく、より専門性が発揮されています。
それと同時に、専門分野しか診ず、疾患毎に各診療科を回していくようになりました。
しかし、患者さんの体は一つです。
心と体は循環しており、全ては繋がっています。
ある患者さんが、高血圧になり、癌になり、ヘルニアになっても、全ては繋がっており、原因は一つなのです。
疾患は表面化した結果体でしかありません。
それを忘れ、目の前の結果体をどうにかすることに終始しているのが今の医療です。

医療が発展・発達していく中、様々な職種が生まれました。
医師、看護師、薬剤師のみならず、放射線技師、臨床工学士など多岐にわたっています。
そしてその各分野が別個に機能しているのが多くの病院の体制です。
近年はチーム医療が推奨され、各職種の垣根は徐々に取り払われてきていますが、まだほんのごく一部です。

医療が発展・発達していく中、生死が何なのか、健康が何なのか、という根本問題は今だ明確になっていません。
技術の進化に人の心が追いつかず、命が長くなってもどう生きてどう死んでいけばいいのかがわからないのが現状です。
生きることにも死ぬことにも不安が募るばかりなのです。

医療の進化は本当に多くの命を救い、文化文明の発展に寄与してきました。
今やiPS細胞の開発にまできています。
しかし、この画期的な開発を活かすには人の心が追いついていないのです。
今までの発展・発達パターンではもう限界であることに気づいている医療者が増えています。

生死が何なのか、健康が何なのか、この命題が万人に理解できる論理が成立した時、初めて真に必要な医療が何なのかが医療者も患者もわかるのです。


医療は大きな変革の時に来ています。
それは乃ち生き方・死に方の変革の時が来ているということです。
一人ひとりが明確に自らの生き方・死に方を創造していく時代がもうそこまで来ているのです。

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