滋賀へ帰る新幹線の中。
おばあさんが来て、
”隣空いてますか?”
溌剌とした笑顔に心ほっこり。
思わずそのまま話しかけちゃいました。
”お荷物たくさんですね”
また素敵な笑顔を返してくれて、自然と話が弾みました。
大阪で同窓会に参加してきて、名古屋のお家へ帰るところでした。
”最後の同窓会だから”
最後?
なんと!86歳だそうです!
はっきりした話し方、しっかりしたまなざし。
見えない~!
びっくり。
当時は女学校と言われていた時代。
戦争当時の様子を少し語ってくれました。
何もなくて、食べ物はみんなで分けて少しずつ食べて。
空襲の中、みんなでかばいながら走って逃げた。
”勉強は全然してません”
気持ちいいくらいスパッと言い切ったおばあさん。
勉強したくてもできなかった時代です。
その分、生き抜く心の力、みんなで力を合わせる関係性はとても身についたと言います。
”今は関係性が希薄で、お隣に誰が住んでいるのかもわからないですね”
私がそう話すと、力強くうなずかれました。
”昔はみんなで分け合って、助け合うのが普通だったけど”
力強いまなざしはそのままに、少し寂し気に語る横顔を見て、
私の心も動かされました。
”今は変化も早くてついていけない”
科学技術の進化。
それは私たちの生活を便利にしたけれど、ジェネレーションギャップは開くばかり。
世代を超えた疎通交流がますます難しくなる。
SNSなどを初めとして、疎通交流する便利さは増えても、
それと反比例するように、実際の人との距離は遠くなっている現状があります。
”体の衰えも、実際に体験してみないとわからないことがどうしてもある”
同窓会メンバーの中では一番元気だったと自負しているおばあさん。
今も舞踊を学んでいるそうです。
そんなミラクルにお元気なおばあさんでも、昔のように体が動かないことは当然あって。
自分自身に歯がゆさを感じると同時に、
子供達とそんな思いを共有できないもどかしさを話されました。
今の時代は、
おじいさんやおばあさんでも、
子供でも、
おじさんやおばさんでも、
若者でも、
みんな生きづらい。
分かち合えない、分かり合えない寂しさを抱えている。
”Aporia”
道のない時代。
陸、海、空、宇宙、インターネット、情報空間
あらゆる道を開発してきた人類が、ついに日本が先駆けとなって道が途絶えた。
だから新しい道は、日本から突破していかないといけない。
おばあさんと話しながら、
”早く、目覚めろ日本”
声にならない声が私の心に響いていました。
”早く、早く”
こんなおばあさんは、日本の誇りだと思います。
おばあさんが、今日見せてくれた笑顔を、人生の最後まで浮かべていられるように。
早く、誰もが心安心できる道を切り開きたい。
新幹線の中のわずか15分くらいの出会いが、
私の生きるエネルギーをさらに高めてくれました。
出会いってすごいですね。
おばあさん、ありがとうございます。